「Good old boys」(本多孝好) | Amazon

たしか今年の7月か8月頃に買って積読していたもの。
本多孝好さんの本は昔から好きで、以前も「MEMORY」っていうのを読んでいたり、大元をたどると高校生の頃に「FINE DAYS」という本を読んだところがきっかけでした。

今回読んだ本は、弱小の小学校サッカーチームにいる8人の子ども達とその父親のお話。8人それぞれの話が1章ごとに描かれていく短編集の形式で、短編それぞれが登場人物的にも時系列的にも繋がっています。父親をメインにして、子供や家族との関わりが描かれており、それぞれ異なる背景や状況を持った家族と父親像が見れて面白いです。

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本多孝好さんの作品は、初期の頃は高校生、大学生、20代くらいの社会人が主人公となる話が多かったイメージですが、以前に読んだ家族を題材にした「at Home」だったり、今回の「Good old boys」では小学4年生の子供のいる父親が主役であり、題材にする人生のフェーズが上がってきているのかなと思いました。
題材は変化していくものの、作品の雰囲気は今作も本多さんらしいです。勝つためではなく楽しむためという方向性の監督が束ねるサッカーチームのゆるさとか、そこに集まった子供たちのゆるさとか。そんな中で家族がちょっとした(重大な)問題を抱えており、子供とのやりとりで父親のほうが気付かされたり、決心したり。何人かの妻のサバサバ感とか。あとは、後半にある、日常なのだけれどちょっとした不思議な力が入ってくる感じとか(FINE DAYSの頃らしい感じです。本多さんの小説に登場する美少女にはこういうことが付随することが多いイメージ)。
すごく盛り上がったり、どんでん返しがあるというわけではないのだけれど、ほんわかする雰囲気があったりシリアスな雰囲気があって良いです。
最後のソウタの章では、ソウタの父親の父(ソウタから見たら祖父)がロボット研究者かつベンチャー企業をやっていました。そこで作ったトイロボットの名前が「ショータ」で、父親が子供の名前をつけるときに無意識的に「ソウタ」にしたけれど、自分が子供の頃に貰ったロボット「ショータ」からきているのかも、、、という話があります。現実にNTTのロボットサービスで使用されているコミュニケーションロボットに「Sota(ソータ)」というものがおり、この名前のネタはここからとったんじゃないかなと思ったり。

あと、細かい文章の書き方の特徴ですが、その章でメインとなっている子供の名前は漢字(蒼太)で記載し、別の章で脇役となった時にはカタカナ(ソウタ)で記載しているのは読みやすくて良いなと思いました。登場人物が多いと名前の覚えるのも大変なので、読みだけでも瞬時にわかるカタカナで記載するのは理にかなっていると思います。その章でメインとなる子は名前が頻繁に登場するので漢字でも問題なく読めますし。



WIkipediaの本多孝好さんページを見ると、下記の作品はまだ読んでいないので、あとでまた手を付けるだろうと思います。
  • 魔術師の視線(2014年9月 新潮社)
  • 君の隣に(2015年6月 講談社)
  • dele(2017年6月 KADOKAWA)

あと、ストレイヤーズクロニクルシリーズは、1作目を読んだ時にそこまで合わないなと思って続きを読んでませんでした。今あらためて読むと面白かったりするのかな。