高校生の頃から好きだった本多孝好さんの小説を久しぶりに読みました。
2013年に発売された「MEMORY」という短編小説集です。

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本を開いてから分かりましたが、この「MEMORY」は以前の作品にあった文房具屋の息子の神田と葬儀屋の娘の森野の話の続きになっています。

1作品目は「MOMENT」という短編小説集で、文房具屋の息子の神田が大学生の頃の話。
バイトで病院に行っていて「もうすぐ死ぬ人の願いを叶える」ってことをこっそりやっている話です。
そこに葬儀屋の森野もやってくるという、、、不謹慎ですが理にかなっていますな。

2作品目は「WILL」という、葬儀屋の森野が主体の話。神田はたしか留学しているので「MOMENT」の後の時系列でのことです。
葬儀を開きに来た人にどこか変なところがあって、その理由を解き明かしていくような話だったはず。

そして、今回読んだ「MEMORY」がこのシリーズの3作品目の位置づけになっています。
時系列的には、前の2作品を包むように短編が配置されています。
中学の頃の話、高校の頃の話、社会人になってから、さらにその後、、、という感じに。
また、神田と森野に絡めた話にはなっていますが、各小説でそれとは別にメインになる人がいて、その話の中で神田と森野は「重要なモブ」のような位置づけて話が進んでいきます。
なので、もしかしたら過去作品を読んでいなくても楽しめるのかもしれませんが、「MOMENT」と「WILL」を読んだ後の方が、実はこんなことがあったのねとか、そういえばこんなことしてたな〜と懐かしい思いに浸れるのでオススメです。
基本的には全シリーズ作品を通して全体的に恋愛小説っぽい感じです。








(以下ネタバレ注意)









それほど重要なネタバレも無いかも。
過去作品を読んだのがかなり前なので、昔の話をかなり忘れてしまっていたのですが、個人的には「MEMORY」の最後の短編小説の中に出てきた「森野が代筆したラブレター」のところがすごく懐かしかったです。そういえばそんなぶっ飛んだラブレターを送ってフラれてた話をしてたな〜と。
また、本多孝好さんの恋愛小説はハッピーエンドで終わるということはなく、どこかモヤモヤした感じで終わることが多いイメージだったのですが、神田くんと森野の話に関しては最後の最後でハッピーエンドのようになっていてよかったです。


すごく個人的な意見ですが、本多孝好さんの作品に出てくる女性は女なのに男前というか、自身が女性であることを客観視しながら行動を決めている感じがして面白いです。ここのところが、本多孝好さんの作品のなかでかなり気に入っています。