「さらに大人問題」(五味太郎)

絵本作家の五味太郎さんの本ふたたび。
1999年のもの。前作に「大人問題」があるらしいが、そちらは読んでいない。
前に読んだ本もそうだったけれども、絵本作家だからか文体が簡潔で読みやすい。この本は特に細かく区切ってあるから、さらに読みやすい。

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学校とか教育の話がメイン。
学校に行かない子ども、学級崩壊など、そういう問題があると「子どもの問題」だと捉えられるけれども、教育や学校の仕組みを作っている「大人の問題」であるというのが大きなテーマ。
そこから、結婚というルールの問題だったり、老人も子どもと同じように大人に区別されて扱われているという問題だったりの話も。
最後の方はまた教育の話に戻ってきている。

社会のルールに対する五味太郎さんのスタンスが絶妙だと思った。例えば、交通ルールで、車を運転するときのシートベルト着用は個人の問題なので義務化はおかしい、でも一時停止や徐行などは他害することを防ぐためだから守る必要がある、など。
予防接種はしないとかは90年代に書かれた本だからかもしれないけれど、コロナ禍後の今だと個人だけの問題じゃなくなってるので変わってくるかも。
生命保険には入らない話は納得できるものがあった。

あとがきに書かれていた、大人vs子どもの図式になるのは煩わしいので、たかが数十年の隔たりで大人も子どもも親も子も区別するものではない、という視点は大事かも。