絵本作家の五味太郎さんの本ふたたびふたたび。
2010年のもの。改訂版も出ているらしい。
やはり教育関連の話。
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五味太郎さんとインタビュアーの会話形式なので読みやすい。
決めたことを勉強させる学校人ではなくて、自ら学びたいことを学習する学習人が良いという内容。
五味太郎さんが小学校で講演やワークショップをするときに、3,4年生くらいまでは活き活きとしていて自分で考えて質問してくるけれど、5,6年生になると遠慮だったり教科書通りの質問みたいなものになる。中学や高校になるとさらに固くなるという話もあって、個人的な感覚としてもそうだよなと感じた(たまに小学生と関わることがあるけれども、高学年はかなりしっかり者で子供らしさは無くなる)。
ワークショップでも、スタッフの大人は指導者ではなくインストラクターとして画材を用意したり子どものサポートに徹するという話や、参加した子供の親が、自分の子どもがこんなに絵が描けるのかと気づくなどの話が印象的だった。大人は子どもを上から指導するという立場の存在ではなく、むしろ大人は、子どもの好奇心からの行動から学ぶべき存在なのだなと。
憲法26条で「教育を受ける権利、子女に教育を受けさせる義務」があり、今は学校教育がそれを担っているが、それを新しい解釈で学習システムを作ったり、博物館や動物園などの学習の機会を無料にしたりすべきという話は興味深かった。
五味太郎さんが考案していた学習システムでは、自分の興味があるものを自分で選んで、その専門家(指導者ではなくインストラクター)から学べて、義務教育の時間は週3日の1日1時間ずつだけとか。
一気に変えることは難しいだろうけれども、こういう構想をすこしずつ実現していくのは面白そう。