2015年6月7日(日)に東京芸術劇場シアターイーストで上演された「ねもしゅーせいこ 夏果て幸せの果て」を見てきました.
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この前は初めての演劇で月刊「根本宗子」『もっと超越した所へ。』を見てきたのですが,本当に本命だったのは根本宗子さんと大森靖子さんがコラボするこちらの演劇でした.
当日は電車が遅れていてけっこうギリギリに入場しました.入り口で上演中に使うらしいパキパキ折るタイプのサイリウムを受け取って,どんな演出があるんだろうというワクワク感も.
大森さんのラジオやLoGirlでのねもしゅーさんの話などの事前情報で,今回の演劇は大森さんの楽曲である「夏果て」をテーマにしているとのことでした.
ねもしゅーさんの作家スタイルとして,演劇の最終的なストーリーがだいぶギリギリで決まるということで,そういうひねり出したものを見れるのも楽しみにしていました.
劇の内容としては,自称「大森靖子」のねもしゅーさんの部屋とバイト先の二つの場面が同時進行するというもの.
部屋の方では,彼氏を追い出したら帰ってこなくなったというねもしゅーさんが悩んで妄想パートを繰り広げ,その妄想の中に「夏果て」の曲に出てくるおっさんと女子高生が登場していました.
さらに,要所要所で大森さんが弾き語りで登場し,「夏果て」以外にもいろいろな曲をストーリーに関わる形で入り込んできたのが大森さんファンとしてはすごく楽しかったです.
演劇の中に歌を取り入れるというのは,大森さんのラジオで「演劇でやってもらいたいこと」をリスナーに募集していた時にも出ていたものだったので,それが取り入れられていてよかった.
そして,曲の歌詞の内容に絡んでお芝居もされるので,コンビニで一番高いアイス(エロイことをする用,約800円らしい)とか,新宿をうまく歩けなかったり,生活保護の三つ編みの女とか,マグロ漁船に乗るから当分会えないわとかとか,,,曲や歌詞を知っているとニヤニヤできるネタがふんだんに盛り込まれていました.
前回,もっと超越した所へを見た時にも思ったのですが,ねもしゅーさんの演劇は全般に笑えるところがあって飽きないですね.また,超越した所でも出演していた元ヤンっぽい女の人とか風俗嬢役だった人が今回も出演していていいキャラしていました.
演劇も見ながら大森さんの弾き語りも聞けて一石二鳥だなと思っていたら,途中で,「もしもいつか子供が生まれても,ギターのほうがかわいいんだもの」って,妊娠しているのにそれ歌ってしまっていいのか!と突っ込める場面も.
ストーリーの終盤は,セットが取り払われたり舞台の裏方さんが登場したりで「これはお芝居なんだよ」「悩んでいないでちゃんと演劇を完結させてよ」と言われるというメタ演劇的な展開に.
そして,妄想の中で想定した敵(佐藤)を倒すために,セーラームーンに変身して(着替えボックスに入ったのに別のところから出てくるマジック要素もあったり),例のサイリウムで観客からパワーを貰って倒すという最後の最後での急展開は見ていて面白かったです.
今回は全般的に,ねもしゅーさんの主観の世界がテーマになっていたのだと思います.悩んだ時の妄想に大森さんが登場したりとか,メタ演劇なところは特にそういう感じがします.
そんな中で,「これは根本さんの演劇なんだから,どこからお芝居でどこまで現実かなんて自分で勝手に決めていいんだよ」という言葉が一番心に残りました.
ねもしゅーさんが大森さんを好きなのも,大森さんがねもしゅーさんを好きなのも,演劇と音楽とで形は違うけれども二人とも「悩んでいる女の子を助けたい」という共通のスタンスがあるからなんだろうなと思います.二人とも当事者として実感があるからこそ,演劇や音楽にそういうものを表現できるのでしょう.
とあるベクトルの悩みを持った人は,ねもしゅーさんの演劇や大森さんの音楽に共感することで,幸せの方に少しでも向けるきっかけになりそうだなって思います.