2015年5月30日にイエローサブマリンなんば3号店で開催されたWIXOSS Party Specialであったという不正行為騒動について.
自分は特にその場にいたわけでもなく,ネットで見かけた情報を元に考えたことを書いてみただけの内容です.
何かのTCGのジャッジ資格を持っているというわけでも無いので,その程度の内容だと思ってください.

参照したのは主に下記でまとめられていたtwitter上の投稿.
WIXOSSまとめの書 WPS不正について少し
WIXOSSまとめの書 WPS不正問題に関しての本人コメント

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不正行為の概要


不正行為として問題とされていたのは,プレイヤーが試合中にカードの効果の操作などとは関係なくライフクロスをシャッフルしたというもの.
それを見ていた,隣で試合をしていたプレイヤーが指摘し,ジャッジ(店員)に報告.
ジャッジは事実確認をし,不正をしたプレイヤーが不正の内容を認める.
裁定としてマッチロスにするかの決定は対戦相手に委ねられ,対戦相手が試合の続行を選択.
不正をしたプレイヤーはジャッジから厳重注意を受け,大会中のその後のそのプレイヤーの試合はジャッジが監視した.



不正行為と悪意


不正に行った行為自体は,「カードの処理などに関係なくライフクロスをシャッフルした」ことですが,行ったことの事実よりもそれが悪意を持って行われたのかどうかのほうが重要だと思います.
悪意というのは,ここでは,イカサマのように自分がゲームに有利になるなどのために意図的に行ったかどうかとしておきます.

参照元の一部の情報では,ライフクロスの表を見てシャッフルしたとありますが,もしそうだとしたら試合に大きく関わる操作を意図的に行ったことになるため,悪意があったと考えられます.

一方で,(カードの効果などで事前に表面を見ているような状況ではなく)裏向きのままシャッフルしたならば,シャッフルした本人にも内容を確定できないので,戦略的に優位になるとも断言できず,ルール的に不正はあるものの悪意については無かったのではと思います.
このような不正行為はカードの操作ミスに近いです.

TCGを何種類かやっている人のよくあるミスとして,ターン開始時に1ドローしか出来ないゲームなのに,他のゲームの2ドローする癖で多くカードを引いてしまうというものがあります.
他には,順番を変えてはいけないゾーンのカードの順番を変えてしまうことなど(ウィクロスは墓地のカードの順番を変えてもいいですが,他のゲームでは変えてはいけなかったり).
また,ウィクロスの場合は伏せていた手札とライフクロスを間違えて表面を見てしまうなどなど.
このような行為は,プレイヤーが能動的に行ったものですが,悪意があったというよりは,癖やまちがって行ってしまった行為だといえます.

今回の「ライフクロスをシャッフルした」ことについては,一般的なウィクロスのプレイヤーがよくあるミスからは少し外れていて,特殊だったために騒がれることになったのかなと思います.
ミス自体の要因は,当プレイヤーの投稿内容にもあるように手札をシャッフルする癖が災いしたのだろうと思います.



操作ミスをした場合の対処


もし,今回の騒動のように,操作ミスをしてしまったプレイヤーは,どうすればよかったのか.
一番重要なのは,ミスを行った際にミスについて対戦相手やジャッジに自ら申告することだと思います.
もしイカサマのような悪意のある行為だったら自らその行為を申告する人はいないでしょう.逆に操作ミスであったら,それを自ら申告することで自分には悪意はなかったがまちがってやってしまったということを理解してもらえるでしょう.

そういう点で見ると,今回の騒動ではライフクロスをシャッフルしたプレイヤーが,「非公開領域だからそんなに変わらないか」という自己判断を下して自ら申告することを怠ったため,周囲の人から「悪意があってやってのではないか?」と疑いが生まれる余地を作ったのだと思います.

このように思われないよう,ミスをした際には,即座に対戦相手に(ジャッジがいる大会ではジャッジにも)申告しましょう.
また,ミスの巻き戻しをする際には,自分だけの判断で戻さず,ジャッジがいる大会ではジャッジに戻す方法を仰ぎ,ジャッジがいない場合には対戦相手に戻す方法を相談して,理解してもらってから戻したほうがいいです.

また,申告した結果,悪意がなかったとしても,ミスの度合いによっては,マッチロスのような重い裁定が下る場合もあります(状況を戻せずゲームが続行不可能であったり,勝敗に直接関わるような重要情報を得てしまった場合など).
ただ,その裁定の重さについてショックを受ける必要は無いです.
大切なのは悪意があったと誤解されないこと.
操作ミスでマッチロスになったとしても,次回の大会では特に問題なく参加できるでしょう.
一方で,悪意があると思われイカサマをしたとしてマッチロスを受けた場合には,出入り禁止にされていなかったとしても,心理的に同じ店舗の次回の大会には参加しづらくなってしまうのではないでしょうか.



対戦相手が判断を下していいのか


今回の騒動では,ジャッジが事実確認した後,マッチロスにするか試合を続行するかという選択を対戦相手に委ねました.
ということは,ジャッジがいるにもかかわらず最終的なジャッジメントを下したのは対戦相手だということです.
今回の場合は穏便に済んだようですが,対戦相手が判断を下すことにはいくつか問題があると思います.

一つ目は,判断が対戦相手によって大きく異なるであろうこと.同じ状況でも試合続行を選ぶ人もいればマッチロスを選ぶ人もいると思います,さらに不正をされた側としての主観も入って判断がかたよる可能性もあります.ジャッジはこのようなことがないように中立の立場から裁定を下すための役割であるはずです.

二つ目は,対戦相手の判断に対して不正をしたプレイヤーが不服に思う可能性があること.一つ目と関連しますが,第三者ではなく当事者の一方が判断を下したという点や,「同じ状況で対戦相手がAさんの場合は試合続行したのに,Bさんの場合はマッチロスにされた」などと不服に感じられ逆恨みされる可能性もあると思います(そんな殺伐とした環境では無いとは思いますが).

このようなことから,ジャッジがいるのならば対戦相手ではなくジャッジが最終的な判断まで下したほうが良いと思います.

※当事者のプレイヤーの投稿で「ジャッジ」と記載されていたため,ここでは,店員がジャッジの役割を兼任していたと考えて書いてきました.もしかしたら,WIXOSS PARTY SPECIALはジャッジを配置するという規定が無く,ジャッジはおらず,主催店舗の店員が仲裁として間に入ったのかもしれません.そうであったなら,対戦相手に判断を委ねたのは仕方のないことだったのかもしれません.



最後に


自分がこの記事を書いた理由は,イカサマなどではなくカードの操作ミスであったと思われることだけで,ネット上で騒がれていたようであり,もし自分が操作ミスをしただけでこんなに騒がれたら嫌だなと思ったからです.
また,別のTCGではありますが,自分は重要な試合で非公開領域のカードを公開してしまうミスを犯しており,その際にはすぐに報告してジャッジに対処してもらったことで特に問題なく試合を続行できました.
その経験と今回のことを自分なりに比較してみて,もしこうしていたら大きな問題にならなかったのではといくつか考えたことがありました.
その考えた内容を公開しておくことで,今後,似たようなトラブルに直面したプレイヤーがこれを参考にできます.
そして,問題が悪化したり不快な思いをすることが減ってくれれば良いなと思います.



おまけ


基準がないから難しい


不正行為について,どこまでは注意で済んで,どこからはマッチロスになるかというのは基準がないため判断が難しいものです.
WIXOSSの場合はありませんが,他のTCGでは,ゲーム自体のルールの他に大会でのルールを定めているものがあります.

ルール | Dimension-Zero Official Home Page
上記の「ディメンション・ゼロ プロジェクト レヴォリューション 汎用フロアルールVer1.12」を参照

全てのミスや不正を記述したり,数値化できるほど明確化することは不可能ですが,このような判断基準があると判断を下す際の参考になります.
この記事でも扱っていた「悪意があったかどうか」という視点も,上記のフロアルールから着想を得ています.
別ゲームですが,起こりうる操作ミスなどはWIXOSSでもだいたい同じなので,ジャッジはこういう考え方で判断を下しているのか,という参考程度に見てみるのも良いと思います.



追記


WIXOSSには、「WIXOSS PARTY」店舗向けイベント運営ガイドラインというものがあるようです。
ダウンロード | WIXOSS-ウィクロス-|タカラトミー
上記リンクの下の方にPDFがあります。PDFでは「WIXOSS PARTY」フロアルールというふうになっています。
その中には、
ゲーム中のトラブルについて
参加者はお互いにゲームを適正に保つ努力を行わなければなりませんが、意図的ではなく起きてしまった誤りについては、主催者(もしくは主催者に委任された担当者)がそれを正すべくなるべく参加者がゲームを続けられるようにゲームの状況をできる範囲で巻き戻します。
ただし、意図的な不正や、自覚している長考(制限時間内に決着がつかないと認識した上で行われる過度なゲームアクションを含みます)など、大会の健全性に問題があると主催者が判断した場合はその限りではありません。主催者はこれらに対してゲームの負け等、大会に拠る範囲の懲罰を課すことができます。

と記載されています。
具体例や細かい条件判断などはないですが、指針としては意図的ではなかった誤りはなるべくゲームが続けられるようにし、意図的な不正の場合はゲームの敗北などの罰則対象になるということなので、やはり不正が意図的だったかどうかが対応を変える基準のようですね。