「変身」(フランツ・カフカ)
有名な作品。青空文庫なので無料で読める。自分の場合は、Kindleで無料でダウンロードして読んだ。
内容は、家族のために忙しく働いていた青年が朝起きると毒虫に変身していたというもの。
以下はネタバレが含まれるかも。

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名作だというイメージから「めっちゃすごい!」という展開を期待していたけれど、そういうわけではなかった。予想外の展開は、最初に虫に変身していたところが一番で、あとはそれまで世話をしてくれていた妹が最後に見捨てるところくらい。それ以外は平坦に進んでいく感じ。最終的に、虫に変身した理由は全くわからない。
展開が良いからというわけではなく、モヤッとする最後で評価されている作品なのかもしれない。

今まで家族を養っていた青年が、虫に変身してから外に出れず家族からの扱いも今までとは変わり、最後には家族に見捨てられる。こう見ると、青年には救いがなく可哀想なストーリーだなと思う。
一方で、家族に着目すると、定年して働いていない父親、体が弱い母親、お嬢様として育てられ外で働いた経験のない妹、この3人が兄である青年の稼ぎによって生活していた。そこから、青年が虫に変わるという出来事を経て、父も母も妹も働き始め、虫に変わった青年の世話さえなければ自分たちで暮らしを支えていけるまで変化を遂げた。つまり、家族からしたら、大変な時期はあったものの青年に依存しない、自立した生活力を身につけたことは良いことだと思う。
青年には可哀想な話だが、青年の虫への変身が、家族を逞しく変身させたともいえる。