「仕掛学」(松村真宏)

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仕掛学の研究に関して一般向けに分かりやすいようにまとめられた本。
ゴミ箱の上にバスケットゴールがあると、思わずごみを投げ入れたくなったり、駐輪スペースに線が引かれているとそれに沿って自転車を駐めたり。こういう、思わずやっちゃいたくなるような、人の行動を誘う力を持ったモノを扱うのが仕掛学です。
具体例の写真と一緒に、どういうことが仕掛られているのか解説されておりとてもわかり易いです。また、もともとはちゃんとした研究や論文になっているものを書き下した本であるため、仕掛けの原理や分類、どうやって発想して仕掛を作るかまで考察されていて興味深いです。
「仕掛け」の定義として、「FAD要件」というものをあげていて、

  • 公平性(Fairness)
  • 誘引性(Attractiveness)
  • 目的の二重性(Duallity of purpose)

これらを満たすものが、この本で言う「仕掛け」となるといっています。

この、「仕掛けの原理」の図が興味深くて、仕掛けの構成要素を分類して考えることができます。よく聞く、「アフォーダンス」が仕掛けの分類の中でも小さい分類に位置しているのが意外でした。この点からも、仕掛学はアフォーダンスよりもかなり広い視点で捉えている研究分野だということがわかります。
後半には、仕掛けを作るための発想の仕方や、実際に授業で作って学園祭で実施した仕掛けの例などもあり、参考になる一冊でした。