これはディメンション・ゼロに限らず、昔はそれなりの数プレイヤーがいたけれど寂れてしまったTCGに関する話。
こういう一度終わってしまったTCGを再び遊べるように復活させるには、リミテッドの特にキューブドラフト形式で遊べるようにすることから始めるのが良さそうと思ったので、この考え方に関してまとめておく。

いろいろな記事を読んでみての考え方なので、受け売りが多いです。関連する記事のリンクを貼っておくのでそちらも参考にすると良いかも。

TCGの復活を望む声、絶滅した未知のTCG


少し前にLyceeが復活するというのが話題になり、それに触発されてぽつぽつと「ディメンション・ゼロも復活されないかな」という声が上がっていた。

昔やっていたけど途中で辞めて、今、もし機会があるならちょっとやってみたいなということなのだろう。

また、池っち店長のTCG議論にも未だにディメンション・ゼロが登場する。



こういうものを見て初めて知った人の中には、「知らぬまに絶滅していた未知のTCG」という存在として「ディメンション・ゼロがどんなゲームなのか気になる」という層もいるのだろう。

そんなこともあり、一度終わってしまったTCGを再び遊べるように復活させるにはどうすればよいのか考えてみる。

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一度辞めたTCGを再開するハードル


更に一度辞めたTCGに「また遊んでみよう」となるのは更にハードルが高くなる。
新しいメカニックやギミックなどが増えているとそれは顕著です。
そこに「このカードが強いから」ということだけで必須といわれるカードがなければ運でも勝てないという状況ができてしまうとするなら。
もっと気楽に遊べるソーシャルゲームなどに移行しますよね。

「遊び」に「心構え」や「とっつき難さ」があっちゃねえ。

問屋の営業さんがいらしたので | DuelPortal


一度辞めたTCGを再開しようと思うと、まずデッキを作るためのカードを用意する必要がある。
しかし、そこに大きなハードルがあり、どんなデッキを作るのか、どんなカードを集めるのか調べて考えないといけない。
昔のデッキをそのまま使ったり、適当にデッキを組んでも遊べると言えば遊べるが、カード資産の関係でかなり不利になるだろう(昔のカードがスタン落ちしていて使えない、知らない間に禁止カード化していたということもあるかも)。
せっかく再開するなら勝ちたいという思いもあるだろう。そうなると新しいカードが必要になる。
そして、それなりに勝つためには、辞めている間に追加されたシステムや新しいキーワード能力について理解しないといけないし、環境的にどのようなデッキが強いのかも調べる手間がある。
「これから何が何でも遊び続けよう」というくらいの気概がある人、そしてカードを揃えるお金と時間がある人でないかぎり、なかなか難しい。

こういう障壁が、再開しようと思っても尻込みしてしまう原因となっている。
初めてやろうという人は昔のカードや経験も無いのでさらにハードルが高いということになる。

このような障壁は、TCGを「構築戦」として遊ぶことを前提としているため起きている。
そのため、「構築戦」ではない遊び方である「リミテッド(限定戦)」を選択することで、こういう問題を回避して遊ぶことができる。

LCGでリミテッド


この記事での考え方は下記の記事から着想を得ている。
D-0 LCG化計画 | DuelPortal
上記の記事では、D-0をLCG化することを主張している(LCGについての詳細は、上記記事に貼ってあるリンク先を参照のこと)。
ただ、強調しておきたいのは、記事の前半に想定する遊び方も書いてあるということ。
各カード1枚(4色30枚ずつ合計120枚)、これだけでリミテッドが遊べる前提

遊び方として、リミテッドで遊ぶことを想定しているのである。
まあ早い話がミニキューブなんだけど

とあるように、リミテッドの中でも「キューブドラフト」を想定している。

リミテッドとは


「リミテッド(限定戦)」とはTCGの遊び方の一つ。
「構築戦」では、あらかじめプレイヤーが自身のカードで自由にデッキを構築し、そのデッキを持ち寄って対戦する。
一方で「リミテッド」は、大会時に渡されるカード束や未開封のパックからその場でデッキを作って対戦する。
リミテッド - MTG Wiki
限定戦 (カードゲーム) - Wikipedia

キューブドラフト


「リミテッド」にもシールドやドラフトなど幾つかの種類があり、その中の一つが「キューブドラフト」。
「キューブドラフト」では、「キューブ」と呼ばれるカードの山を事前に準備し、キューブから一定枚数のカードの束をたくさん作り擬似的なパックとする。これらの擬似的なパックでドラフトを行うのが「キューブドラフト」である。
キューブドラフト - MTG Wiki

キューブドラフトの特徴

「キューブドラフト」の特徴として、キューブにしたカードはその大会中だけプレイヤーにレンタルという形になる。他のリミテッドでは、配られたカードやピックしたカードは大会後も自分のものとして持ち帰れるものが主流である(そのため、事前にパック購入費のようなそれだけの代金を支払っている)。一方で、キューブドラフトのカードは、キューブを作った人(主に主催者)のものであり、大会の後はカードをキューブの作成者に返す(元のキューブに戻す)のが通例である。

キューブドラフトのメリット・デメリット

この特徴からキューブドラフトのメリットとして、
・各参加者がカードを持っていなくても遊べる
・パック購入の必要が無いのでお金がかからない
・同じキューブで何度でも遊べる
などがある。

一方で、デメリットとして、
・主催者(キューブを用意する人)の手間が増える
・ゲーム中のカードの扱いや汚損・紛失などのトラブルの可能性
・構築戦に比べて時間がかかる(ドラフト、デッキ作成、スリーブに入れる作業)
・ある程度人数を集める必要
がある点には注意。

キューブドラフトとTCG再開の相性


前の方に書いたように、TCGを再開する際のハードルとして、
・(最新の)カードを持っていないからデッキが作れない
があった。
キューブドラフトでは、使うカードとしてキューブがあればいいので、参加者はカードを持参する必要がなく、手ぶらで参加しに行けばよいのである。
また、全参加者が一つのキューブ(カードの山)からデッキ構築をするので、カード資産の差というのも生じない。
そのため、TCGを再開したい人や始めたい人が気軽に参加できるようになるのだ。

他の選択肢との比較


TCGを再開したり新規に始める道筋の他の方法の選択肢として、構築済みのデッキを貸し出すという手段がある。また、似たような手段に無料のデッキシートがある(主にゼクスが行っている手法)。
新規の人にTCGのルールを教えるなら、さらにシンプルにしたデッキを用意するというのも得策である。
D-0をボードゲームっぽく遊ぶ:第一回 Vシールド準拠24枚ver | D-0企画委員会
D-0をボードゲームっぽく遊ぶ:第二回 40枚ver | D-0企画委員会
D-0の基本システムをボードゲームっぽく遊ぶ

一方で、ルールは分かっているがカードは持っていない段階の人を対象とすると、既存のプレイヤーと対戦する場合にデッキパワーの差が大きくなるという問題が出て来る。
その点、キューブドラフトであれば同じカードプールからその場でデッキを作って対戦することになる。
そのため、カードを持っていない人と既存のプレイヤーが同じ条件で対戦できる環境としては、デッキの貸出よりもキューブドラフトが適している。このやり方ならどちらも楽しむことが可能である。

さいごに


ディメンション・ゼロは、2014年に公式サポートが終了している。
しかしながら、有志の同人活動による新規カード「FixerS」としてLCGという形で継続している。
そういう点で言えば、完全には終わってしまったTCGではないのだが、プレイ人口は少なくなっただろうし、再開や新規ではじめたくてもカードを集めにくい(そもそも売っていない)というハードルは同じである。
そのため、カードを持っていないけれど遊びたいという人にとっては、キューブドラフトが良い入り口になるのではないかと思う。

実際に遊んでみて、ハマってより深くやろうと思ったらその時に、構築戦もやるためにカードを揃えていく。そういう段階を踏んでいくのが良いのかなと思う。



ものすごく長々と書いてきたけれど、結局のところ、自分がFixerSでのキューブドラフトを遊んでみたいというのが本音だったりする。
現状ではFixerSだけで200種あるし、FixerSだけでデッキを組んでもちゃんと動くものになっているので、ドラフトをやっても十分楽しめるだろう。





追記1
意外と多くの人からアクセスがあったので宣伝。
ディメンション・ゼロの情報収集&デッキ作成サイト D0-RSSも動いているので、興味のある方はぜひ。

追記2
冒頭にも貼った、ツイートをまとめたモーメントに、この記事への反応ツイートも追加。
リセTCG復活に触発されたディメンション・ゼロ関連ツイート | Twitter モーメント
遊ぶ人のレベル(ルール説明からの入門者、初心者、中級、上級)によって、入門者には構築済みデッキのほうが適していたり、レベルに合わせることが重要そう。
また、デッキ構築をするにしても、ドラフト形式ではなくシールド形式の方が良いという場合も。