amazonというものはすごいもので、プライム会員になっているとAmzon Primeビデオで結構な種類の映画やドラマ、アニメが見れます。
最近利用し始めて、ちょっと見てみたのが、「アオイホノオ」のドラマです。
「アオイホノオ」ドラマ公式サイト
「アオイホノオ」 Amazon Primeビデオ

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島本和彦の漫画「アオイホノオ」が原作。
島本和彦の自伝のような話で、1980年代、漫画家を目指して大阪の芸術大学に通う若者、ホノオモユルの物語です。

毎回冒頭に「この物語はフィクションです」と表記されるものの、作者自身の体験を元にした話なので、同じ大学に通っていた人たち等で現在はアニメや漫画界で有名になっている実在の人物も多数出てきます。
例えば、この人。

庵野秀明
「エヴァンゲリオン」や、最近だと自分も見に行った「シン・ゴジラ」の監督としても有名です。
庵野も主人公モユルの同期であり、入学早々からクオリティの高いパラパラ漫画を課題に提出して注目を浴び、モユルが(一方的に?)ライバル視する存在になります。


ドラマでは当時の庵野の様子がいろいろと描かれており、課題の映像作品としてウルトラマンの自作版を作ったり、キャラの動きの真似をしていたりと、本当に特撮やアニメが好きでずっとやっていたんだなと感じます。だからこその「シン・ゴジラ」の監督と納得しました。このドラマの中で話題にされる特撮にゴジラも含まれているので、青年の夢がすごい形で現実になったものだなと感心しました。(タイムリーな話題だったのでこればっかりに触れてしまう)


あとは、山賀博之の存在。
自身は絵もかけないし映像撮影もできない、作品に詳しいわけでもないです。しかしながら、絵の上手い人や技術のある人を集めて統率していく。後半では、大きなプロジェクトへの参加を躊躇う赤井を説得したり、庵野の扱い方がうまかったりと、意外と重要な役割を果たしていきます。漫画やアニメの直接的な技術は無いものの、チームで制作をする際の人を動かす技術がある人がいるというのも、また面白いところだなと思いました。


ちょっとしたドラマの見どころとしては、昭和後期の雰囲気が伝わってくるところ。自分が生まれる少し前くらいの時代ですが、小さい頃ちょっとみたことがあるなって感じの古い家電だったり、黒電話、服装、などなど。懐かしい雰囲気がします。また、話の中で有名漫画家のデビュー前後の様子などもうかがい知れて、この時から日本のアニメや漫画文化というのは大きな成長をし始めていたんだなと感じました。


この作品の面白さは、なんといっても主人公モユルの葛藤でしょう。
自分には才能があると思いながらも、結果を残せていないから熱い思いは一時的で自信を失ってしまう。そしてまた浮上する、という上がって下がっての繰り返しです。

いろいろな漫画を読んだり、他の人の作品を見て、「これなら絶対連載までイケる!」というアイデアを思いつくも、あれこれと理由をつけて、形にはしない。そんなことをしているうちに、ライバルの庵野たちはなんかすごいものを作っている。その凄さが分かって比較することで自信がなくなったり焦ったり。
何回か「すごいこと思いついた、けどまだやらない」を繰り返した後、ぎりぎりになって「これでやるしかない」でやってみるものの準備不足で思ったとおりにいかない。やる気は再燃するけどクズだからすぐにはやらない、手を動かして作業をしないという、どこか身につまされる部分があります。
そんなこんなありながら、一応は少しずつ進歩していくというのが救いです。

そして、「痛みは生きてる証拠だぜ」には笑います。

コメディっぽくありながら、実は真面目に熱い話になっている、おもしろい作品になっています。



アオイホノオ11のひみつ
ちなみに、ドラマ公式ページに岡田斗司夫のドラマシーンの解説があります。
ドラマの各話を見終える度に、その回の解説を読むと更に楽しめます。
実はドラマの中に本人が登場していたというのもあるし(これを読んで初めて知りました)。