本屋で見つけて良い感じの雰囲気を感じて衝動買いした漫画です。
1巻完結で、少女とロボットのを中心としたSFっぽい話が展開される、どことなく昭和な感じがする独特な世界観がステキな漫画でした。
(以下、ネタバレ注意)

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歯車だらけのロボットであるロイドと、機械の修理が得意な少女チャオがメインの漫画です。
漫画自体の絵柄と世界観が独特なところが特徴で、絵柄は可愛い優しい感じと少し不思議な感じがあり、世界観は歯車がテーマという感じです。町並みとしては、瓦葺の平屋が多いので昭和な雰囲気ですが、スマフォが登場したりと技術的には現在と同じという少しちぐはぐな世界観なところが好きです。

個人的には、ロボットのロイドの中身が歯車だらけな点について、動力は何なんだ!とか余計な疑問を持ってしまいましたが、そこら辺はSFということで不問ということで・・・。
少女のチャオとロボットのロイドを中心として、周りの人達が「モノの大切さ」について目覚めていく流れがステキでした。少し故障しても捨てるのではなく直すことで、モノにより愛着が湧くというのは僕としてもよく分かるところです。

僕が一番気になったのが、一番最後のシーン。
ロイドが車に轢かれてバラバラになってしまい、その後、部品を集めて願をかけて直してもらうことによって、直ったような描写はあります。しかしながら、その後のコマ(212ページ)では、チャオがロイドに駆け寄っているのですが、花冠をかぶったロイドが漫画の絵柄として動いている感じがなく、棒立ちしている感じを受けました。
漫画のメインのテーマとしては「モノの大切さ」なのかなと思うのですが、「モノの大切さ」を示すサブテーマとして、モノに宿る命というものがあると思います。
そういう点で、今までアクティブに動いていたロイドが最後のシーンで棒立ちになっていたシーンがすごく気になりました。
機械は壊れても修理すれば直る。その一方で、人は調子が悪くても治療したら治るけれども、死んでしまったら生き返ることはない。
もし、ロイドが車に轢かれてバラバラになったことで、人でいう【死】にいたったのなら。もし、ロイドに人と同じような【命】が宿っていたなら。それは死んでしまったら二度と戻るものではないので、最後のシーンでロイドは復活しておらず、死んだままだったのではないかなと思います。
この辺は、漫画では明確には分からないので読んだ人の推測に委ねられるのだろうですが、僕が受けた印象としては、ロイドは最終的には復活せずに死んだままだったんじゃないかなと思います。

一応、工学分野で学んでいる自分としても、こういうロボットに命はあるのかという命題は興味深い内容でした。
また、漫画としてもこの絵柄から生まれる世界観はとてもステキなものだなって思った漫画でした。