「御上先生」
映画ではなくテレビドラマ。
2025年の3月頃に放送されていたらしい。
普段は全くテレビドラマは見ないけれども、この前、飛行機の中で1話だけ見て、面白かったので続きを見ていた。
ネットではU-Nextでしか配信していないらしく、登録して無料期間中に見た。

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1話を見たときの感想


内容は、エリート官僚が、文科省から私立高校へほぼ左遷という形で出向して担任を行う話。
官僚が現場で教育改革を行うみたいな面があっておもしろい。
御上先生が出向して担任になったことで、副担任に降格された国語教師の先生が、図書館で資料を探しているシーンがあるんだけれども、そこで手にしていた本がこの前読んだ「暇と退屈の倫理学」(國分功一郎)だなと分かったのも、個人的な気づきポイント。

つづき


令和らしい作品。
話の中では、平成の頃話題になっていた3年B組金八先生のドラマについて触れる部分もあり、金八先生によって良い先生=熱血教師というイメージを一般に植え付けた教育上の弊害などもあげられていた。
金八先生は、その当時の社会問題を教育とともにテーマにしていた感じで、この御上先生も令和の社会問題を教育とともにテーマとしたドラマと捉えられるので大枠としては同じ系統にみえる。もちろん、平成と令和では時代が違うので問題も違い、作品としてだいぶ異なる印象だったなと思う。作中の是枝先生もそうだけれども、自分の世代も小学生、中学生の頃に「金八先生」を見て育った世代なので、それをドラマ内で挙げて直接批判しているのは違いを意識するうえでとてもわかりやすかった。

また、扱っている問題も令和の社会問題なので、新鮮だし難しくておもしろい。
Personal is Political, 一見、個人の問題に見えることでも政治的・社会的な問題であること。
報道による私刑。
教育指導要領や教科書検定。
介護、ヤングケアラー、相対的貧困。
答えが簡単には出ない問題を、安易な解決策で終わらせないで、考え続けることの重要性については、この前読んだ本にもあったネガティブ・ケイパビリティにつながる考え方だなと思った。
文科省から出向してきた先生ということで、学校に閉じている学園ドラマではなく、学校・教育と社会・政治との関わりにも目を向けられるおもしろいドラマだった。