絵本作家の五味太郎さんのエッセイ的な本。
自分は五味太郎さんの絵本は、小さい頃に読んだ思い出はそこまで無い(「きんぎょがにげた」は多少記憶にある程度)。
うちの子どもが毎月新作が届く絵本をもらっており、その中に五味太郎さんの「うるさいぞ」という絵本もあって内容がけっこう印象に残るので気になっていて、図書館に行くときにはたまに五味太郎さんの絵本も借りていた。
この本は、タイトルからは「絵本の作り方」みたいな印象を受けたけど、内容は五味太郎さんの考え方について。もちろん絵本に関することが多いけれど、そこから五味太郎さんの絵本だけではない考え方が見えてくる。
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「絵本をつくるのは楽で楽しい」という内容から始まってるのが良かった。
画材(絵の具、筆、紙)には意思があって、自分に合うものを選ばないと画材の意思に負けてしまうとか(油絵の具は油絵の一般的な作品のイメージに引っ張られるとか、PCは便利だけど自分の意思が反映しづらいとか)。
出版社は資本主義的過ぎて、出版という面白さが活かせなくなっている話とか、編集者は気の合う人とだけ一緒にやっているとか、そういう話はおもしろかった。
あと、MOEの2024年9月号に五味太郎さんのロングインタビューが載っており、これもまた面白かった。軽く書かれていただけだけど、絵本の他にテニスや麻雀、チェロやジャズが好きというのも良かった。工業デザインとか人間工学の経歴もあるからか(自分には合わないということですぐに変えたようだけど)、Bauhausの本が背景の本棚にあったり。