大森さんの著書。大森さんの考え方とそのエピソードがまとまった短編集という感じの本です。短編として短めに区切られているので読みやすく、短編同士で関連があるので支離滅裂になっているわけでもなく、読み進んでいくうちに大森さんの考え方の大枠がわかってきます。
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冒頭や最後の方にも少し触れられていますが、この本はだれにでもわかりやすい日本語で書かれているわけではなく、大森さんの日本語で描かかれています。これは一見欠点のように見えますが、大森さんの文章だからこそ伝わるものがあったり、文章の端々や行間から読み解くことで、受け取る人によって解釈が違ったり、それこそが重要だったりします。
個人的には、終盤の#孤独力、#光、#歌を描く、#超歌手のところが好き。
孤独を肯定することの重要さとか、一般的にはダメダメだと思われる性質でも光ることには大事とか、歌手ではなく「超歌手」を名乗る理由とか。
読んでいて思ったのは、大森さんのいう孤独は、個性を創るものなんじゃないかなということ。「必要なのは孤独を消してくれる人ではなく、孤独を愛して抱いてくれる人」という話も、孤独を個性に置き換えてみると理解しやすいなと思いました。ただ、大森さんにはあえて「孤独」という言葉を使った意図とか細かいニュアンスなどがあるんでしょう。とにかく、自分には、この#孤独力の話が一番印象に残りました。
最後に、「この本の最後の言葉を選べずにいます」と書かれた中で選ばれた最後の文章の中にあった言葉に、個人的に親近感を覚えてちょっと嬉しかったです。