空理計画さんのカードゲーム「アリスアセンブル」について。
自分も購入して遊んでみていました。
その後、空理計画さんからアリスアセンブルの
キャラクター図鑑や、同じカードを使った別ルールの遊び方が公開されました。
それらを見て思ったのが、「アリスアセンブルはカードセットが主体なのではないか」というもの。
今回、自分の考察をメモとして残しておきます。
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普通のカードゲームはルールが主体
だいたいのカードゲームというのは、まず遊んでもらいたいルールがあって、そのルールで使われることを前提にカードのパラメータを決めたり、カードセットを決めたり(何種類カードを用意して、どういう枚数配分で入れるのか)すると思います。
アリスアセンブルのカードも、最初はそうなのかと思ったのですが、後から公開されたキャラクター図鑑で、カードのパラメータである歯車が持つ意味がすごく重視されていたり、同じカードセットを使った別のルールでの遊び方が公開されたりしたことで、アリスアセンブルはカードセットが主体で、ルールはその付属の一部という印象を受けました。
カードセット主体というのはトランプのよう
カードセットがまずあり、それを使ったいろいろなルールが付属しているというカードゲームの最たる例は「トランプ(Playing card)」です。
トランプは、A,2,3,~,10,J,Q,K の13種の数字と、スペード、ハート、ダイヤ、クラブという4種のスートの組み合わせの52枚にジョーカーを加えたカードセットがまずあります。そして、このカードセットを用いたたくさんの遊び方のルールが考案されています。
トランプは、特定の遊び方ルールのために作られたカードセットではなく(もしかしたら最初はそうだったのかもしれないのですが)、カードセットが主体としてまずあり、それを使った遊び方ルールが付随的にどんどん生み出されていったものです。
アリスアセンブルにも、トランプのようなカードセット主体の雰囲気を自分は感じます。その理由を次の節で説明します。
主体となるカードセットの美しさ
なぜトランプはカードセットが主体で、そこに様々なルールが生み出されていったのか。
考えられる理由は二つあり、そのひとつは、トランプが普及しているということ。一般に一番普及しているゲーム用のカードがトランプだと思います。手に入れやすく、多くの人が使っているから、そのカードセットというプラットフォームに乗っかって新しい遊び方のルールを考案しようとする人が多いため、トランプというカードセットを主体としたルールがたくさん生まれたのだろうと思います。
二つ目の理由は、トランプのカードセットとしての美しさ。トランプの4つのスートは四季に対応し、13種x4スートの合計52枚という数字は、1年間が約52週であることと対応します。また52枚の数字の合計が364となり、1年=365日から1,2日足りない分も、ジョーカーとエクストラジョーカーが対応していると考えられる。トランプのカードセットと暦が対応しているということです。
Wikipediaを見てみると、トランプのカードセットが暦と対応していることは、そうなるように意図的にデザインされたわけではなく、偶然であるとしています。しかし、偶然であれ、解釈のあとづけであれ、結果として暦との対応がみてとれるカードセットになっていること自体が、カードセット内のカード配分の美しさの一因になっていると思います。そして、暦との対応によって、例えば占いで日付を表すのに使いやすい枚数となっていたり、なにかカードに機能をもたせる際にも使いやすくなり、カードセットを主体として付随的なルールを作ることに一役買っているのではないかと思います。
アリスアセンブルの数学的なカードセット
アリスアセンブルのカードは32種からなります。ひとつのカードには0~31までの10進数表記の数値を持ち、その数値を5ビットの2進数(例えば10進数で10なら、01010)にした値が歯車のアイコンで表されています。トランプは暦との対応がありましたが、アリスアセンブルは10進数と2進数という数学的な対応がカードセットにあります。この数学的な仕組みが入ったシンプルなカードセットであることによって、その仕組をもとに様々な遊び方のルールを付随的につくることが出来るようになるのです。
先日公開されたアリスアセンブルの別の遊び方であるグレイブロック(Grayblock)というルールでも、「これは何か」の節で、
このゲームで用いられているシンボルの配置規則は、グレイコードから採ったものです。
(だからタイトルの由来は、グレイ+ブロックです。)
とあります。2進数表記を使ったカードパラメータとカードセットだからこそ、2進数と関連するグレイコードの考え方をベースにしたルールができたといえます。
アリスアセンブルのカードセットの他の魅力
「アリスアセンブル」人形大全を見ると、2進数の各ビットが、腕部(紫)、脚部(青)、力(緑)、翼(黄)、頭脳(赤)と、機能と色に対応付けられていることがわかります。さらに、その機能と色づかいがキャラクターの個性とイラストに反映されています。これは、トランプで言うところの絵札(J,Q,K)だったり、もっと言えば、花札の花の種類と各月が対応していることや、タロットカードの各カードが意味を持っていることとも近いかなと思います。カードセットとして2進数の数学的な意味だけではなく、対応付けられた機能やキャラクター性といった部分でも魅力があります。
おわりに
「アリスアセンブルはカードセットが主体なのではないか」という自分の考察を長々と書いてきました。
つまりは、普通のカードゲームだと、遊んでもらいたいルールをもとに、このカードを追加してこれは枚数を削って、、、みたいに専用のカードセットが出来上がるのが一般的だと自分は思っていたのですが、アリスアセンブルを見た時に、まずカードセットの美しさがあって、その次に遊ぶルールがあるという。そういうカードゲームって意外と多くなくて、カードセット主体なものも魅力的だなと感じたのでした。その感じを伝えたくて記事に残した次第です。