ということで、料理と食べ物のエッセイを読んでいた。
「ごはんぐるり」(西加奈子)

直木賞受賞作家の西加奈子さんの食べ物に関するエッセイ。

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数ページで終わる短いエッセイがたくさん入っていて読みやすい。
料理や食べ物のこと限定という印象ではなく、そこから広がる、生活する上での考え方だったり好みだったりの話という印象だった。その書き方も、さすが小説家だなといううまさがあって読んでいて楽しかった。
また、著者自身の経験も独特な点があり、幼少期にエジプトのカイロで暮らしていたときの話やいろいろな国の料理を習ったり食べたりした話があって面白かった。カイロではお米に混じっている石や虫をとらないと白米にはありつけなかったり、卵かけご飯が一番のごちそうで、そのために日本で買った卵のパックを膝に乗せて飛行機に乗るんだ、という話があったり。
独特な経験はあるけれども、根本はやはり日本人であり大阪人で、そんなところには共感もできて面白いエッセイだった。