真夜中に布団で横になりながらも寝付けずにいたので、「そういえば、寝ながら歌を歌うと腹式呼吸で歌えるらしい」とか考えていたら、ふと昔のこととつながるなと思ったのでその話を。

僕は小児喘息を患っていて、小さい頃はよく発作を起こしていました。喘息の発作って気道が狭くなるので、呼吸がしづらくなるんですよね。発作の最初は呼吸音にヒューヒューという音が混ざり始め、さらに悪くなるとゼーゼーという音に変わってきます。(ちなみに、ヒューヒューとかゼーゼーは喘鳴と呼ぶらしい)

このゼーゼーまでくるとかなりツラくて、呼吸することに必死になるので最低限しか喋らなくなり、正座をして手を腿の上に置いて肩に力を入れる姿勢になります。
この、「発作のものすごく苦しい状態だと正座をする」というのは自分からすると一番楽な姿勢なので当たり前のことなのですが、喘息の発作を知らない人からすると正座する理由がわからない事が多いようです。親とかすごく近しい人だと正座についてはわかっているのですが、親戚とか学校の先生とかあまりわからない人になると、一番苦しい時に「横になったら?」とか言い出します。
今から思い返すと、病気で苦しんでいる人を横にして寝かせるという行為はそういう人達から見れば当たり前で、むしろ「苦しんでいる子供を正座させている」という状況のほうが異常に感じるんだろうなと思います。
しかしながら、当事者としてはゼーゼー状態の発作になっている状態で横に寝かせられたりなんかしたら、さらに呼吸が困難になってしまう。冗談じゃないですね。
しかも、発作であまり喋れないので、横になったらという助言に対して首を横に振ったりするのですが、それではきっぱり断りきれないというコンボも付いています。

ということで、喘息の発作が酷くなると正座が楽なのですが、その理由はなんでなのかなと改めて調べてみると、最初の「寝ながら歌うと腹式呼吸」になることとも関わっていました。
喘息の発作時に正座する理由というよりも、発作時に横になると呼吸が苦しくなる理由ですが、横になると横隔膜が重力で引っ張られて下がるかららしいです(参考: 喘息児のお母さんへ)。
横になると横隔膜が下がることによって、喘息の場合は呼吸が苦しくなりますが、同じ理由で歌う場合には下がった横隔膜を動かすことで自然と腹式呼吸になるんだろうと思います。

真夜中にこんなしょうもないことを考えていました。

ちなみに、喘息については、今でも予防用の薬は常用しています(ピークフローが未だに平均より低いらしいので)。しかし、発作自体はここ10年位は出ていないので、小学生の頃から比べればほとんど問題がない状態になっています。
自分の場合は、中学の頃にけっこう走らされる部活に入っており、その頃からかなり改善されました。成長することによって体自体がつくられ、その際に運動もしていたことで呼吸器系も強くなったから発作も出にくくなったんだろうなと思います。
同じように、喘息の常用薬を貰いに呼吸器科に行った時に、実は小さい頃は小児喘息だったけれど今では問題なくやっているという有名スポーツ選手のポスターが貼られていました。小児喘息については小さい頃は大変だけど成長にあわせて運動もしていけば、将来的には日常生活に支障の無いレベルまで抑えられる疾患なんだろうと思います。

ということで、喘息の発作時に正座していても「横になったら?」は言わないようにしましょう ということでした。



じゃあ何すればいいの?と気になる人は、文中に貼ったリンク先とか読んでおくとイイと思います。